起業家インタビュー / I・OTA合同会社 代表社員:國廣愛彦 西村修 石原幸一

大田区から世界へ、ものづくりソリューション・プラットフォーム

 2019.6.28

J-Create+に入居する起業家の方々をご紹介するインタビュー企画。

今回ご登場いただくのは、大田区の製造業社が集い、これまでになかったソリューションの提供を可能にするものづくり会社I・OTA合同会社から、代表社員の國廣愛彦さん、西村修さん、石原幸一さんのお三方に話を伺いました。


創業のきっかけ、ビジネスを通じて、どんな価値を社会にプラスしていきたいのか?そして、これからの展望について、さまざまなお話をじっくりとうかがいました。


これからの時代に大田区の製造業として取り組むべきこととは


-まずは、I・OTA合同会社の事業内容を教えていただけますか?


國廣さん:

僕たちは大田区でそれぞれものづくり・製造業の事業をそれぞれの自社で行なっています。全員40代、そして2代目という近しい境遇のメンバーが集っています。


当たり前ですが、一社だけでは提供出来る技術やサービスにどうしても限界があります。そこで、複数の事業者が集うことで、これまでになかった連携が生まれ、出来ないと思われたことでも可能になります。例えば、私の会社に来た問い合わせで、製造ラインのキャパシティの問題で受注できないこともあり、通常であればお断りさせていただくことも過去にありました。そういった時に、チームで受注・商品を提供出来れば、お客様もわざわざ新規で事業者を探さなくてもよくなりますし、例えば海外に仕事が流れてしまえば、大田区としても損失です。


なので、このI・OTA合同会社は連携をすることで多くのリソースを活用し合い、さまざまな設計ソリューションを提供することを目的としています。今現在はこの三社がメインで活動していますが、やはりそれでも限界はあります。大企業の提供出来るソリーションには勝てないところがあります。ゆくゆくは大田区全体の製造業社が集うプラットフォームになっていけたらと考えています。



-なるほど、プラットフォームなのですね。

では、それぞれの自社の事業の特徴を教えていただけますか?


國廣さん:

まず僕の方から。株式会社フルハートジャパンという会社の代表をしています。主に電子制御機器の設計から製造までを手掛ける会社です。自動化や省力化を目的として、扱うものは計測制御がメインなので、センシングを行うような機器がほとんどです。あとは加工設備も整っていますので、板金やステンレス、銅板などさまざまな材質の加工を行なっています。


西村さん:

私は株式会社エースの代表をしております。主に自動車関連や鉄道関連の生産ラインで使われている専用機の設計・製造、部品単体の製造、そして次世代の製品向けの研究開発のための部品だったりを製造しています。大手のメーカーさんから直接受注をいただくので、自社内でやれるものは自社で、大田区や全国の連携企業様とのつながりで製造を受注しています。


石原さん:

私は株式会社東新製作所の代表をしています。創業50年、主に製缶板金をメインにバルブやダクトなどの立体的な構造物を得意とした企業です。気密性や強度が求められる立体構造物の溶接にご定評いただいておりまして、水周りの加工が得意です。リーマンショックを契機にして、連携による経営革新というものに取り組み始めまして、自社で大田区や国内、そして海外とグループを作って事業に取り組んで来ています。I・OTAの取り組みと近しいかもしれませんね。10年ほど前から、海外人材の活用をテーマにベトナムに法人を作り、海外事業部を開始、商品の開発・製造を手がさせていただいたものの販売のお手伝いも始めています。加工・設計・海外事業・販売と4つの部門を実施しています。


-ありがとうございます。それぞれ自社の専門分野を磨き上げてきた結果の連携なのですね。


・石原幸一さん


I・OTAが生まれたきっかけ


ー I・OTAのプロジェクトはどのようにして生まれたのですか?


國廣さん:

最初のきっかけは大田区のプログラムでした。大田区の特性である町工場の連携を通して、地域をどう活性化していけるのか?大田区が地域の課題をみんなで議論する場が設けられたんです。そこからさまざまな視点で議論を重ねていく中で、まずは出来ることからやってみようと。動き出すことで、あたらしい出会いやつながりも生まれるはずだと。


西村さん:

実際に動き始めたことで、さまざまなご提案の機会が出てきました。実は、いくつかの農機具の開発のプロジェクトが動いているのですが、当初はまったく想定していない分野ですね。これまでだったら、自社で取り組んだことがない分野には参画出来なかったはずですが、チームで動くことで、未知の領域・分野でも、一緒に考えて提案することが可能になってきましたね。


石原さん:

そしてもう1つ、今動いているプロジェクトで1つご紹介したいのは大田区が海外のベンチャーと国内企業のマッチングを行うプロジェクトから生まれたものがあります。國廣さん、こちらのプロジェクトはもうすぐ納品ですよね?


國廣さん:

はい、マレーシアの大学発のベンチャー企業とも仕事をさせてもらっています。ケナフという植物から丈夫な繊維が取れるのですが、マレーシアではその繊維を家具などの商品に活用するそうです。今回はそのケナフから繊維を効率的に取り出すための精密機器を、設計・製造を手がけることができました。今年の7月には実際に製品の納品が完了します。僕らとしても、本当に嬉しいですね。


・國廣愛彦さん


これからのアクション


ーI・OTAの今後の活動について教えてください


西村さん:

大田区の製造業のほとんどが、ファミリー企業と言われています。営業力やPR力も足りていないですし、ITなどの仕組みの導入も現場レベルではまだまだです。もし可能であれば、I・OTAの取り組みを通して、大田区のものづくり企業の底上げ、レベルアップに貢献していけたらという考えを持っています。


そのためにもまずはI・OTAでの実績を1つひとつ作り上げていきたいですね。海外ベンチャーとの繋がりをもっと増やしていきたいですし、農業分野の実績も数多く生み出していきたいです。待っていれば仕事が来る時代は終わったと言われる中で、挑戦しながら小さな成功体験を生み出している人たちが地域に居れば、じゃあ自分もやってみようか、自分たちでもできるかもしれないな、と感じていただけるかもしれない。そんな風に考えています。


・西村修さん


國廣さん:

ともすると、これまでライバルとしてそれぞれがせめぎ合って事業を展開してきたはずです。でも、これからは新しいお客さんを探し、共に提案をする仲間として、お互いが良い刺激を与え合うような関係性をここ大田区で作っていきたいですね。


石原さん:

たまたま同世代の経営者も多いですから、それぞれの意識は同じなんです。大田区全体のものづくりを支えるような、そんなプラットフォームにしていきたいですね。



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現在少しずつ実績を生み出し始めたI・OTA合同会社。ここの専門性を磨き上げた事業者が連携することで、高いレベルのソーリューション提案を現実化する取り組みとして、国内外からも期待の声が聞こえて来るとのこと。今回これまでのご縁の中で、地域全体をサポートしていくのであれば、城南信用金庫が運営するJ-Create+に入居することで、社会に大きなインパクトを残していける会社として成長していけるのではないか、とご入居を決めたとのこと。

これからのI・OTAの取り組みから目が離せません。


■ I・OTA合同会社
住所: 東京都大田区西蒲田6-32-11 城南信用金庫蓮沼支店3階 J-Create+
HP: https://i-ota.jp/

I・OTA合同会社

I・OTA合同会社

I・OTAは大田区企業の力をフルに活かし、ものづくりの技術を通してお客様の課題を解決する共同事業体です。

https://i-ota.jp/

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